ポルシェを長く所有するうえで、大きな安心材料となるのが「ポルシェ認定保証」です。
正式には「ポルシェ アプルーブド保証」と呼ばれ、新車保証終了後も一定の条件を満たすことで、保証を継続または新たに付けることができます。
私が所有する992.1型ポルシェ911カレラSも、車検のタイミングで1年間のポルシェ認定保証に加入しました。
ただし、実際に手続きを進めて分かったのは、保証料を支払うだけで簡単に加入できるわけではないということです。
認定保証に加入するには、ポルシェが定める111項目のチェックを受け、車両が一定の基準を満たしている必要があります。
さらに、定期交換部品の交換、純正部品への戻し作業、警告やエラーが出ている箇所の修理なども必要でした。
この記事では、ポルシェ アプルーブド保証の概要に加え、延長保証とスタンドアローン保証の違い、実際に加入するまでに必要だった整備について紹介します。
ポルシェ アプルーブド保証とは
ポルシェ アプルーブド保証は、新車保証が終了した後の車両に対して用意されているメーカー保証です。
保証期間中に対象部品の故障が発生した場合、保証条件に該当すれば、部品代や修理費用が保証されます。
ポルシェは部品代だけでなく、修理工賃も比較的高額になりやすい車です。
エンジンやPDKをはじめ、電装部品、制御系部品などに不具合が発生すると、修理費用が数十万円から、場合によってはさらに高額になる可能性があります。
そのため、中古のポルシェを長く所有する場合、認定保証への加入は故障時の出費を抑える有力な方法になります。
一方で、消耗品や経年劣化、外的要因による故障など、すべての修理が保証されるわけではありません。
保証の対象範囲については、加入前にポルシェセンターで確認しておくことが重要です。
延長保証とスタンドアローン保証の違い
ポルシェ アプルーブド保証には、大きく分けて「延長保証」と「スタンドアローン保証」があります。
延長保証
延長保証は、現在加入している新車保証や認定保証を、保証が切れる前に継続する形で加入する保証です。
保証期間を途切れさせずに延長するため、スタンドアローン保証よりも加入料金が抑えられる場合があります。
私がポルシェセンターで確認した際も、すでに保証へ加入している車両が翌年に延長する場合は、新規加入時とは料金体系が異なるとの説明を受けました。
今回、私の992カレラSが加入した1年間の保証料は約19万3,000円でしたが、翌年に継続する場合の延長料金は約15万500円と案内されています。
保証を継続する予定がある場合は、保証期間が切れる前に手続きしたほうが、費用面でも有利になる可能性があります。
スタンドアローン保証
スタンドアローン保証は、新車保証や認定保証がすでに切れている車両に対し、あらためて加入する保証です。
保証がない状態から新たに加入するため、車両の状態を確認する111項目チェックが必要になります。
また、点検によって不具合や基準外の箇所が見つかった場合は、それらを修理してからでなければ保証に加入できません。
中古車を購入した時点で保証が付いていなかった場合や、保証期間が一度途切れた車両が再加入する場合は、このスタンドアローン保証に該当します。
私の992カレラSも、実質的には保証がない状態から加入する形だったため、保証加入前に車両全体を基準に合わせる必要がありました。
認定保証の加入には111項目チェックが必要
ポルシェ認定保証へ加入するには、ポルシェセンターで111項目のチェックを受ける必要があります。
このチェックでは、単に車が走行できるかどうかだけではなく、認定保証を付けられる状態であるかが確認されます。
点検される内容は、エンジンやトランスミッション、ブレーキ、足回り、電装系、灯火類、各種コンピューターのエラーなど、多岐にわたります。
車両に警告灯が点灯していたり、診断機にエラー履歴が残っていたりする場合は、その原因を確認し、必要に応じて修理しなければなりません。
また、点検時期や交換時期を迎えている定期交換部品についても、交換が求められることがあります。
つまり、認定保証への加入費用は、保証料だけを見て判断できません。
車両の状態によっては、保証に加入できる状態まで整備するための費用が、別途必要になります。
定期交換部品の交換が必要だった
今回の車検と認定保証加入にあたり、私の992カレラSでは複数の定期交換部品を交換しました。
主な交換部品は以下のとおりです。
・スパークプラグ
・Vベルト
・エアフィルター
・バッテリー
これらは故障して動かなくなったから交換したわけではなく、点検時期や交換時期を踏まえ、車両を適切な状態に整えるために交換したものです。
認定保証に加入する場合、メンテナンス履歴や交換時期についても確認されます。
交換時期を過ぎた部品や、状態に問題がある部品をそのままにして、保証だけに加入することは難しいと考えたほうがよいでしょう。
特に中古車の場合、前オーナーがどのような整備をしていたかによって、加入前に必要となる費用は大きく変わります。
社外バッテリーから純正バッテリーへ交換
私の992カレラSには、購入時点で社外品のバッテリーが取り付けられていました。
しかし、ポルシェ認定保証に加入するため、今回はポルシェ純正バッテリーへ交換しています。
認定保証では、車両がポルシェの基準に適合していることが求められます。
社外部品が装着されている場合、その部品の種類や装着箇所によっては、純正部品への交換が必要になる可能性があります。
すべての社外部品が認められないという意味ではありませんが、少なくとも保証対象となる機能や故障との因果関係が問題になる部品については注意が必要です。
バッテリーは車両の電装系全体に関係する部品です。
電圧低下がさまざまな警告やエラーの原因になる可能性もあるため、認定保証への加入を考えるうえでは、純正品へ戻しておく意味は大きいと感じました。
今回の純正バッテリー交換費用は、部品代と工賃を合わせて約10万5,000円でした。
決して安い金額ではありませんが、保証加入後に電装系の不具合が起きた際、社外バッテリーが原因として疑われるリスクを減らせる点では、必要な整備だったと考えています。
ハイマウントストップランプのエラーが発生
今回、特に惜しかったのが、保証加入前にハイマウントストップランプのエラーが発生したことです。
走行中にハイマウントストップランプに関する黄色の警告が表示され、一度エンジンを切って再始動すると消えることもありました。
しかし、その後の走行で再びエラーが表示されたため、車検入庫時に確認してもらうことになりました。
診断の結果、原因はハイマウントストップランプにつながる配線の一部断線でした。
修理費用は工賃を含めて約8万円です。
部品はドイツからの取り寄せとなり、修理完了まで約1か月かかる予定となりました。
本来は保証で直したかった故障だった
このハイマウントストップランプのエラーは、タイミングとして非常に惜しいものでした。
あと少し遅く、認定保証へ加入した後に発生していれば、保証修理の対象として扱われた可能性があります。
しかし、今回は保証加入前の111項目チェックで発見された不具合です。
当然ながら、すでに発生している故障を修理せず、そのまま保証へ加入することはできません。
そのため、保証へ加入するための事前修理として、自費で直す必要がありました。
保証に入ろうとしたまさにそのタイミングで、保証を使いたくなるような故障が発生したことになります。
「これを保証で直したかった」というのが正直な気持ちです。
ただし、見方を変えれば、保証加入前の点検で配線の断線を発見できたともいえます。
警告が一時的に消えていたからといって放置していた場合、車検後や遠出の途中で完全に点灯しなくなっていた可能性もあります。
惜しい展開ではありましたが、今後安心して乗るためには必要な修理でした。
修理後は111項目チェックを受け直す
今回のように、111項目チェックの途中で不具合が見つかった場合は、その箇所を修理したうえで、あらためて車両が基準を満たしているか確認されます。
私の車両も、ハイマウントストップランプの修理が完了した後、再度チェックを受けることになりました。
そのため、修理が終わるまで一度車両を引き取るのではなく、そのままポルシェセンターへ預けています。
保証に加入するための点検は、単なる形式的な確認ではありません。
不具合が見つかれば修理し、修理が正しく完了したことまで確認して、初めて保証を付けられる仕組みになっています。
加入前の負担はありますが、その分、一定の状態まで整備された車両に保証が付くという安心感があります。
認定保証の加入費用は保証料だけではない
今回、私が加入した1年間のポルシェ認定保証料は約19万3,000円です。
ただし、実際にはこの保証料以外にも、加入するための整備費用が発生しました。
具体的には、定期交換部品の交換、純正バッテリーへの交換、ハイマウントストップランプ関連の修理などです。
車検や定期整備、1年間の保証を含めた費用は約59万5,000円となりました。
さらに、タイヤ交換やPSMPへの加入、今回のハイマウントストップランプ修理などを含めると、車両を理想的な状態へ整えるための総額はさらに大きくなります。
ポルシェ認定保証を検討するときは、保証料だけでなく、次の費用も考えておく必要があります。
・111項目チェックに関連する点検費用
・交換時期を迎えた定期交換部品
・社外部品を純正部品へ戻す費用
・警告灯やエラーが出ている箇所の修理
・タイヤやブレーキなどの消耗品交換
車両の状態がよければ、追加費用を抑えて加入できる可能性があります。
一方で、購入後の整備歴が不明な中古車や、長期間保証が切れていた車両では、加入前の整備費用が大きくなる可能性があります。
それでも認定保証に加入した理由
加入前にこれだけの整備費用がかかると、認定保証に入らず、その分を将来の修理費用として残しておく考え方もあります。
それでも私が保証に加入した理由は、992カレラSを今後も安心して所有したかったからです。
現在の走行距離は約4.8万kmです。
すぐに大きな故障が発生する距離とは限りませんが、今後さらに走行距離が増えれば、電装系や制御系を含め、何らかの不具合が起きる可能性は高くなります。
ポルシェの場合、一度の故障で保証料を上回る修理費用が発生することも珍しくありません。
特にエンジンやPDK、電子制御部品などに不具合が起きた場合、修理費用を事前に予測するのは困難です。
今回はまず1年間加入し、車両の状態を確認しながら、翌年以降に延長するか判断することにしました。
延長保証は保証が切れる前に検討したい
今回の加入費用は1年間で約19万3,000円でした。
一方、翌年に保証を継続する場合は、1年間で約15万500円になると案内されています。
また、加入時点で提示された料金は、2年間で約31万9,000円、3年間で約44万4,000円でした。
単純に金額だけを見ると、長期契約のほうが1年あたりの費用は抑えられます。
ただし、今後の所有期間や乗り換え予定、走行距離によって最適な期間は異なります。
私の場合は、まず1年間の保証に加入し、次回の点検時に車両の状態と今後の所有方針を確認したうえで延長を検討する予定です。
保証を継続したい場合は、期限を過ぎてスタンドアローン保証扱いにならないよう、保証期間内にポルシェセンターへ相談したほうがよいでしょう。
まとめ
ポルシェ アプルーブド保証には、現在の保証を継続する延長保証と、保証が切れた車両が新たに加入するスタンドアローン保証があります。
スタンドアローン保証へ加入する場合は、111項目チェックを受け、ポルシェが定める基準を満たす必要があります。
今回、私の992カレラSでは、定期交換部品の交換、社外バッテリーから純正バッテリーへの交換、ハイマウントストップランプの配線修理などが必要になりました。
特にハイマウントストップランプの故障は、保証加入直前に発生したため、本来なら保証で修理したかったという惜しい展開でした。
しかし、保証加入前に不具合を修理し、車両全体を一度しっかりと整備できた点は、今後長く乗るうえでプラスだったと考えています。
ポルシェ認定保証を検討している場合は、保証料だけではなく、加入基準を満たすための事前整備費用も含めて予算を考える必要があります。
中古ポルシェを購入する際には、現在保証が付いているか、保証を継続できるか、スタンドアローン保証へ加入する場合にどの程度の整備が必要かを確認しておくことをおすすめします。


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